
【あらすじ】
昭和63年、広島の呉原では暴力団組織が街を牛耳っていた。
新勢力である広島の巨大組織「加古村組」と地元の「尾谷組」がにらみ合いを続ける中、加古村組の関連企業の社員が行方不明になる。
ベテラン刑事の刑事二課主任・大上章吾(役所広司)巡査部長は、新米の日岡秀一(松坂桃李)巡査と共に捜査に乗り出すが・・。
【おすすめ度】★★★★
冒頭から目を覆いたくなるような暴力シーン。
「コンプライアンスなんて糞食らえ」
そう訴えかけてくるような、製作陣の気迫をビンビンに感じます。
処女作「凶悪」ではリアルな犯行描写と不穏な雰囲気の作品作りで、注目を浴びた白石監督。
しかし前作「日本で一番悪いやつら」は興収を意識しすぎたのか空回り、どっちつかずの中途半端なノワール駄作でした。
そして本作。
また監督の良い部分が戻ってきたような、何やら吹っ切れた印象をうけました。
そうそう、こういう「東映ヤクザ・エンターテインメント」が観たかったんです。

そんな監督の気迫が伝わったのか、役者達の熱量ある演技も見どころです。
役所広司はもうド鉄板ですが、注目したいのが松坂桃李。
以前よりその演技力と出演作品選びでじわじわと玄人人気を伸ばしてきていました。
そして本作でも、深みのある存在感を十分に感じ取ることができました。
あらためて将来が楽しみな俳優さんです。